日本切手ノート (97)      19.05.08

連合葉書の使用例

 今回は薄墨連合往復はがきの少し変わった使用例を2点紹介しましょう。郵便局
員と差出人の会話が聞こえてきそうな使用例です。




 1) 差出人はドイツ人です。1898年の10月29日に横浜郵便局でドイツまで差出し
    ました。このドイツ人は久しぶりの手紙だったのでしょうか、何と返信部までび
    っしりと文面を書いています。故意で郵便料金をケチったのかは分かりません
    が、返信部の宛名部まで文面を書いているので明らかに規則違反でしょう。と
    ころが横浜局の局員はご丁寧に返信部にも抹消印を押印し、不足も取らずに
    受付けてしまいました。「また、外国人が変なことしているな。面倒だからこの
    まま通そうか」等と言ったかは知れませんが、12月2日無事ドイツに到着して
    います。外国人が横浜局で差出した外国郵便では、料金不足や規則違反の
    郵便が、故意に見逃されたと思える使用例が時々見られます。




 2) フランスはパリ行きの使用例です。1901年3月21日に東京麹町局で差出され
    ました。以下想像を加えてのお話です。受取人は郵趣家で、日本の葉書を送
    ってくれるよう友人に頼みました。友人には「なるべく文面部も汚さないでくれ」
    と付け加えることも忘れませんでした。ところが、麹町の郵便局員は少々うるさ
    い局員だったのです。「異人さん、文面部が白紙では受け付けられません。」
    差出人である友人は渋々文面部にこう書いたのです。「この葉書には何か文
    面を書かないと受付ける事が出来ない、と郵便局員が言っています。」本当に
    このような郵便規則があったのでしょうか? 何だか間の抜けた便りになって
    しまいました。小うるさい麹町の局員と鷹揚な横浜局の局員とを比べてみても
    面白いかもしれません。

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