日本切手ノート (11)      14.11.18

★ 和桜茶半銭2版の「コヨリ」付きシート


 

 

 昨年の「日本国際切手展2001」で金賞を受賞された鈴木鉄一氏より、面白いもの
があると、上のシートを見せられた。鈴木 鉄一様、どうも有難うございました。
 松田印刷和桜茶半銭2版のシートである。9番に枠落ちのエラーが有る筈だが、と思い
ながら良く見ると、2ヶ所にコヨリが付いている。コヨリの付いたシート?記憶に無い。手彫
切手にコヨリが付いたものについては、何点か報告がある。

☆ 紙付で龍二百文1版8番、消印は新居検査済で右上角にコヨリが付いている。

☆ 洋桜青1銭「ニ」の両耳付40番切手の未使用で、右下角にコヨリが付いている。

☆ 他にも龍二百文の未使用、龍弐銭の未使用に存在すると聞いた事があるが、
   確かではない。


 「”当時、多数のシートを地方局に送付した時、コヨリを通してシートを束ねたのでピン・ホー
ルが出来た。”とウッドワードは書き残している。」と市田本「桜切手」にあるが、上のシート
を見る限りではこの説に?が付く。
 上のシートでは、1番と40番のタイプFのピン・ホール穴にコヨリを通してあるが、とても何シー
トも束ねるには役立ちそうも無い。1番の方は、表面だけに数ミリの紙片が残っており、
裏面は何も無い。40番も表面は1番と同じ様に数ミリの紙片が見えるだけだが、裏面
が面白い。コヨリの先が2糎余り残っていて、先が細くなっている。丁度、針穴に糸を通
す時に糸の先に唾をつけて細くし、針穴に通し易くするかのようである。8番と33番の
ピン・ホールには何の痕跡も無い。
@ 化粧裁 A 数合わせの為に綴じる(束ねる) B 発送の為 との説もあるが定か
ではない。
 こんなものが出現するから、手彫切手の収集は止められない。手彫切手のコヨリに
ついての資料やご意見をお寄せ下さい。

 

 上の写真は、朝陽会発行の絵葉書30種の内の1枚で「印刷部 印紙切手類目通し
及打抜室」の風景である。菊切手時代の明治30年〜40年のものであろう。コヨリのとこ
ろに注目して戴きたい。はっきりしないかも知れないが、左下にコヨリが長くぶら下がっ
ているのが見える。
 資料を提供して頂いた 澤 まもる先生、有難うございました。
 今週末、大阪で開催されるジャパンスタンプ商会の競売で、「旧小判2銭両耳付1番切
手貼」の封筒が出品されている。この切手にはコヨリが付いていて、これを見ると束ね
る為の説が、有力な様な気がする。手彫と小判の製作時期の間隔は5年程なので、
参考になるかも知れない。
 昨今の、「通常切手も針金で綴じて、袋に入っていますよ。」との話は何の関係もな
いだろう。


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