日本切手ノート (57) 16.07.13 |
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★ 手彫切手6銭の図案 |
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最近の収集界では、郵便切手のプルーフ・試作品・図案原画等の資料研究が再 び注目されているようにみえます。手彫切手でも古くから興味深い有名な話があり ます。手彫切手の図案の中でも、鳥切手と並び人気があるのが、何処となく異国情 緒溢れる6銭切手です。市田左右一博士の「桜切手」でも、6銭の図案について英 領イオニア島やスイスのホテル切手を参考にして作られた可能性が指摘されてい ます。今回はその中で、スイスのホテル切手をご紹介しましょう。 |
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郵便制度が軌道に乗った19世紀後半になっても、スイスやオーストリアの山岳地 帯では充分な郵便網が有りませんでした。山岳地帯に在ったホテルやペンション等 は、時に郵便局まで数キロ離れている事もあり、ホテルの一部では宿泊者のサービ スとして独自の切手を発行し、最寄の郵便局までの送付を引受ける者が現われま した。 スイス・Rigi-Scheideck (1648m)に在ったホテルでは、J.MuellerとHauser & Stierlin のホテル切手が知られています。ミュラー氏経営のホテルでは、1868〜70年に3種 の切手を発行していていますが、何れも額面金額は表示がありません。1883年に スイス連邦政府により使用が禁止されています。収集界では、未使用は難しくあり ませんが、使用済は入手が困難なものもあり、エンタイアの存在数は少なく、多くの 収集家が探しています。 この切手は発行時期や図案から、古くから日本の手彫切手6銭の参考図案であ る可能性が言われていますが、何よりもその酷似している図案がこの説に説得力を 与えています。一国の郵便切手を模造して図案を作成するのは日本国のプライド 上出来なかったが、スイスの民間ホテルのラベルなら問題無いとしたのかも知れま せん。当時実際に渡欧した日本の視察団が、何時何処でこのホテル切手を手にす る事が出来たか等は現在まだ分かっていませんが、ロマンのある話として取上げて みました。(K.T.) |
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