日本切手ノート (27)      15.04.04

★ 2次発行(1919)の旧大正毛紙の目打12について

   

 3月30日に開催された「ジャパン・スタンプ・オークション」に旧毛の30銭(最低値10
万円)
画像左上・50銭(最低値30万円)画像中上・及び他額面の単線目打12が出品さ
れた。落札値は30銭が10万円M・50銭が45万円Fだった。30銭の方は「目打の裏小
薄れ」の記述を気にされたのであろうが、50銭の方の45万円は実にラッキーな買い
物だった。現存2点の内の1点といわれ、他の1点の所在は現在不明である。数年
前、100万円の呼び声で、或る業者が即売会で陳列していたとか、いないとか。鯛さ
んのご好意により、画像をお見せする。有難うございました。

 今回のオークションでは、田沢の人気が今ひとつだった様だが、目の利く人はこう
いう時が良い切手の拾い時である。

 2次発行
(1919)の旧大正毛紙の目打12は、6銭を除いて他の3種が知られている
が、8銭以外は知る人ぞ知る珍品である。8銭はグルックナー・コレクションに大きな
塊が有り、市場に散ったので入手は左程困難ではない。30銭もチラホラするので、
根気良く探せば入手は不可能ではない。しかし、50銭は大変で、オークションに出
たのは初めてではないだろうか。因みに、30銭では支那字入にも確認されており、
「伝統郵趣の世界」・天野安治著の中で、現存5〜6枚として記録されている。氏より
お許しを頂いたので、
画像右上をお見せする。天野さん、有難うございました。
 この2次発行の目打12とそれ以前の目打12では、機械が違うように思えるのだが
如何なものだろう。大白の目打12と2次旧毛の目打12は別物なのか、同じ物なのか
或は小生の目の錯覚だろうか。特に、30銭と50銭では並びの悪い幼稚園児の行列
の如き特徴が有る様に思えるのだが。
 この目打12の切手では、8銭だけに霞罫の耳付が存在していて、30銭・50銭の目
打12の耳付は確認されていない。50銭の紙質は初期印刷のものだそうで、有れば
当然霞の耳付の筈である。しかし、30銭・50銭に白耳の目打12が出現したとしたら、
ヤヤコシクなる。震災の「前・後」「霞耳・白耳」等を考えてみると、どうやら2つの説が
唱えられそうである。専門家の研究結果が待たれると共に、30銭・50銭の目打12の
耳付(霞耳でも白耳でも良い)の登場を待ちたい。

 上記とは別に、もう1点珍品をご披露しよう。
 「旧毛の50銭・単線目打11の神戸欧文消の田型
(下画像)」である。


 50銭の単線11は束から見付かったと言われていて、単片では其れ程不自由する
切手ではない。しかし、「群(かたまり)としては再接田型が1点記録されているだけ」
と言われている。新発見のこの切手は完全な田型で、関東大震災の
翌年1924年
6月
の使用である。

 
訂 正

 匿名氏より電話を頂いた。「J-stampの切手収集日記を読んでご覧」との事で、早
速、読ませて頂いた。
 上記記事「旧毛6銭の単線目打12」は私が知らぬだけで、周知の事実であるらし
い。
「郵趣研究」でカバーが紹介されているし、「田沢切手専門型録」にも使用済の単
片が掲載されているらしい。
 また、『「旧毛50銭の単線目打12」も
1989年JPS「第250回記念オークション」に出
品された事がある筈だ。』との事。小生の不勉強を恥じると共に、訂正させて頂きま
す。J-stamp20さん、有難うございました。


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