日本切手ノート (21)      15.01.14

★ 龍銭切手の後期印刷

     
   

 龍切手の原版は10面ある。龍文で8面・龍銭で2面が作られたが、龍文原版の内
5面が額面部を変更して、龍銭に流用されている。流用版の内、龍弐銭と五銭は龍
文の原版「200文2版」「500文2版」を使用した。この原版から龍文200文と500文は余
り多く印刷されなかったので、摩滅や疲れは殆ど見られない。しかし、龍銭を印刷し
ている内に、原版に疲れ・摩滅等の難点が出て来た。
 上記画像左(龍弐銭)の左龍破損などは、リタッチされても不思議ではない程である。
当時、桜切手の製造が考えられていた事もあって、そのまま印刷が続けられた。
 龍五銭(上記画像右下)は龍尾が欠けている。五銭の残っているシートを見ると、この
変種のある切手は4・6・7・8番で、それ以外には見当たらない。勿論、500文2版のシー
トでも同じである。だが、この五銭はそのいずれのポジションでもない。よく見ると、左上
の七宝の一部(上記画像右上)が欠けている。おまけに、独眼龍である事から2番切
手に間違いない。印面の疲れも大分酷いので、印刷中に龍尾が壊れていったもの
であろう。どなたか、もう少し鮮明な2番切手の龍尾欠をお持ちでないだろうか。
 龍弐銭・五銭はシートが有る。多量に印刷されていないので、初期・後期印刷につい
ては、余り顧みる事も無く見過ごされて来た。もう一度、見直してみたいものである。
 ちなみに、龍弐銭と五銭の原版は、出来がお粗末である。この事は、ポジションの確
認が容易である事を意味する。これは、龍壱銭1版の精巧な印刷と比べてみるとよ
く分かる。松田工房の熟練彫刻者は、桜切手の彫刻に取り掛かり、この2面の原版
は新米彫刻者に任せたのであろうか。



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