日本切手ノート (14)      14.12.04

★ ラフカディオ・ハーンの封筒

 
「02年JAPEX」で小判切手の作品で、金賞を受賞された大鐘氏から「日本切手ノー
ト」にと貴重な情報を頂いた。
 新小判1円のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)便と言えば、話題になったので、ご記憶の
方も多いだろう。
 カバーを入手に至る経緯やその感動が直に伝わってくるので、氏の文面をそのまま
使わせて頂いた。大鐘様、誠に有難うございました。(健)

 11月のJAPEXで、図1の大きなカバーを出品した。1円のカバーとしては、ありふれた
重量便で、あまりすっきりしない。しかも封筒は荒く開けられており、切手にも少々
傷が及んでいるが、差出人ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が大きな反響を頂いた。


1

 このカバーを入手したときの裏話がある。「ラフカヂオ」としか見えないのだが、これでピ
ンときた。これは「ラフカディオ・ハーン」のことか、と。裏を見ても何も書かれていない。この
業者に他に似たカバーは持っていないか尋ねた。やり取りはすべて電子メールである。
 次の日に届いた画像は、図2の通り。


図2

 ちょっとがっかり。熊本の丸一印で同じボストン宛だが、肝心の小判切手新20銭が
ぷっつり切れている。仕方なく、裏面の画像を再度請求しつつ、「ミフリン」をインターネット
で検索してみると、何とやはり「ラフカディオ・ハーン」と関係があるどころか、彼の全集ま
で出版した米国の教育出版老舗であることが分かった。
 
そしてまた翌日、このカバーの裏面が送られてきた。(図3)


図3

 完璧だった。「ラフカヂオ・ヘレン」とあり、ハウトン・ミフリン社(英語ではホートン・ミフリン社)宛
て、蛇のようなマークの下にはLafcadio Hearn とある。日本語は、彼の妻となった小泉
節の文字か。
 ラフカディオ・ハーンは、1890年に松江にやってきた。その後、熊本、神戸、東京と移り
住むが、松江の時期に家政婦だった小泉節と結婚している。図2/3のカバーはその
熊本時代のもの。図1のカバーは神戸時代のものである。図1のカバーは、書留重量便
であるが、A.Rは到達証明で5銭の追加料金であるから、1円50銭の内訳は(米国宛
27倍料金1円35銭+書留料金10銭+到達証明5銭)である。
 
図2のカバーは、郵趣用のカバーとしては使えそうもないが、YOKOHAMA中継印の年
号2字欧文印は、94 SEP 2と非常に早い使用例。TooLateとあるのは、指定された
船便に間に合わなかったときに押されたものらしい。多くの方からコメントを頂いたとお
り、これらの大きな封筒は、当時日本の状況をせっせと原稿にしてアメリカに送ってい
た姿が忍ばれる。今年ボストンに出張したときに、この住所を探してみたが時間があ
まりなくて、丁寧に尋ね歩くことができなかった。そのときは、このミフリン社が昨年、
ヨーロッパの別の会社に買収されたことは知らなかった。もしかしたらその買収劇に紛
れてこの2つのカバーが出てきたものかも知れない。
 ラフカディオ・ハーン、日本名小泉八雲、その曾孫は松江にご在住らしい。
 http://www.toyama-u.ac.jp/tya/library/harn.html


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