日本切手ノート (123)      21.2.19

乃木2銭朱色糊付無目打


 昭和切手の中で、「乃木2銭」は特別人気がある。
 色・糊・目打など、その変化は多岐に亘り、集め始めると中々止められない。
 その中でも、昭和切手最大のエラーと呼び声高いのが、「乃木2銭朱色糊付無目打」であり、「乃木2銭」蒐集のエベレスト
である。
 この切手は、昭和20年(1945年)に東京の渋谷郵便局で発売され、10枚群を手に入れた人が如水会(切手交換会)
へ出品したとか、著名蒐集家の故村田守保氏が同局で20枚群を手に入れたなどと言われている。
 現在、コレクションに納まっているものや市場にあるものなどを調査してみると、上耳付縦連が数点・耳無縦連が数点・
第2コーナー両耳付1点・田型2点が確認されている。(1番と11番の両耳付縦連があるとも言われているが、未確認であ
る)この事から推察すると、10枚群や20枚群といわれているのはシート上部だった可能性が高いが、既に上記の切手達
のように分割された可能性がある。
 しかし、上画像(上記田型2点の内の1点)をみると左耳にトンボが確認出来、上記の群を分割したものではない。残る
1点の田型には耳紙が残されていないが、シート上の20枚群から分割したものだとしたら、蒐集家の心情として耳紙を
残さない事はないだろう。
 これらを総合してみると、渋谷局では、無目打のシートに鋏をあてながら販売したのではなかろうか。乃木2銭朱色は
普通目打が昭和19年10月頃・単線目打12が昭和20年3月頃に姿を見せているので、無目打は単線12の目打漏れの
可能性が高い。「乃木2銭」蒐集のスペシャリスト児玉博昭氏によれば、「この無目打の朱色は特徴があり、有目打の色と
比べてみると答えがでるのでは」との事。
 いずれにせよ、60年間に記録されているのが上記の数なので、新たな出現は期待できないが、当時、普通に購入し
て使用した切手の出現を期待したい。

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