日本切手ノート (2)      14.08.06

★ 龍切手48文の初期印刷と後期印刷

 龍切手の印刷原版は銅で出来ている。銅版に40枚の龍を1枚づつ手で彫りこみ、
手作業で印刷された。銅版は柔らかいので、何千シートも印刷している内に、原版が
くたびれてくる。最初に印刷したシートと何千シート目かに印刷されたシートでは、出来上
がりに違いがあって当然である。この違いに注目して収集を進めるのも、切手を集
める事の楽しみのひとつである。
 下の写真で説明すると左から、「最初期印刷」・「中期印刷」・「最後期印刷」となる。
この切手は48文の1版と呼ばれている。



拡 大 図

@ 最初期印刷
   恐らく印刷を始めてから何十シート以内の印刷であろう。彫線は極々細く鮮明で色
   は赤茶色である。紙も非常に薄く、良くもまぁこんな薄い紙に糊を付けて封筒に
   貼ったものだと感心する。

A 中期印刷
   千シートとか、数千シートとか印刷された頃の切手である。原版の彫線に乱れが出
   てきて、龍の顎髭や尾の部分が潰れている線が磨滅し始めたので、インクがムラに
   なって付き、ベタッとして見える。色は黒褐色になり、最初期印刷の品のある赤茶
   色とは比較にならな い。

B 最後期印刷
   五千シートも、六千シートも印刷してくると、原版の磨滅もハッキリと分かる様になる。
   彫線が潰れて浅くなるので、インクの付が悪く擦れて見える。「左龍の頭等は禿龍
   だ」と言う人もいる程である。両方の龍が真っ白くなり、白いバナナが向き合ったよ
   うな切手を見たことが有る。

 となって、新しい原版を彫刻する事になり、2版と呼ばれているが、旨い事に大きな
印面の変化があり、1版との区別は容易である。
 2版は余り多く印刷されなかったので、原版の損傷が少なく、次の龍半銭を印刷す
る時に、龍の部分は流用され、再使用された。


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