日本切手ノート (1)      14.08.01

★ 新発見? 欧文と和文の混合櫛型印

 欧文と和文の混合印として最も珍しいのは、明治7年頃に使用された山城国宇治
の消印である。目POST/OFFICE/山城宇治郵便所と彫られたこの郵便印はエンタイヤ
としては2点だけが記録されている。古い話だが、名古屋の江崎恵海師がこの切手
の脱落封筒を持っておられて、中川長一先生が「惜しい、惜しい、全く惜しいエンタイヤ
ではある。」と嘆かれた話があった。ところが、この惜しい、惜しい切手が金井宏之氏
のコレクションに発見され(青一下耳付縦連)、金井氏のご好意により両者が合体、復元
されて、江崎コレクションに収まった。この時の江崎師の喜び様は後々迄の語り草になっ
ている。この封筒は現在、江崎師の思い出と共に、金井コレクションに収まっている筈で
ある。欧和混合印は大和国五條の◎Tomaya印(画像左)も有名なので写真でお見せ
しよう。

閑話休題。



 この度発見された封筒(画像右)に押してある混合櫛型印は時代こそ新しいが聞い
た事も無い珍印である。櫛型A欄が欧文、B欄に西暦年号、C欄に和文局所名、D欄
の櫛の中に白抜☆が入っている。ここ迄書けばお気付きの様に、在中国の消印であ
る。櫛型・NEWCHWANG2/29.6.12./牛荘新市街、D欄☆入と読めるが、本来はC欄
にはI.J.P.A.の植字が普通とされている。支那字入菊切手10銭1枚貼の書留便で、
書留票には「牛荘新市街」の黒印が押してあり、満州営口新市街満鉄宿舎丙九号
牛嶋貫吾氏より熊本市新屋敷町424.武田元X殿へ差出された封筒である。
 ちょうど90年を経た2002年の6月に発見されたのも、何かの縁であろうか。この様
な珍品が今もって発見されるところに、郵趣の楽しみの醍醐味がある。


ご意見・ご感想は当社まで メール でお願い致します。 目次へ