日独戦争と俘虜郵便の時代 19 03.03.18. |
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9) 戦利ドイツ潜水艦(その2) |
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第二特務艦隊の一部(日進、第二十二、第二十三駆逐隊)は、特務艦関東に 回航された7隻のドイツ潜水艦とともに、大正8年(1919年)6月18日海軍横須 賀港へ凱旋到着した。7隻の潜水艦には〇一から〇七までの番号が与えら れ、日本海軍の潜水艦建造の参考として研究される事になった。この潜水艦 は当初損傷の激しいものが多く、スエズ運河を通り遠く日本まで回航するこ とを、イギリス海軍をはじめ各国海軍の専門家は不可能とみていた。しか し、第二特務艦隊はイギリス・ポートランド軍港、マルタ・バレッタ軍港にお いて大修理を行ない、日本まで無事回航に成功し、世界中の海軍関係者を驚か せたといわれている。また、この戦利潜水艦の回航は、成功するか疑問があっ たので事前に日本国民には知らされていなかった。その為、第二特務艦隊の凱 旋にあたり急遽公表されたので、国民の驚きと歓喜の様は大変なものだった らしい。 |
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図56 |
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図56は横須賀に到着した戦利ドイツ潜水艦絵葉書。上段左より〇一号、 〇ニ号。「海上の魔王トシテ全世界ヲ震撼セシメタル独逸潜水艦(横須賀海軍 鎮守府検閲済)」 旗艦出雲、第二十四駆逐隊は、連合国各国の港へ寄港したためやや遅れ、 大正8年7月2日に無事横須賀へ凱旋到着した。7月9日には、横須賀軍港沖で 大正天皇御臨幸のうえ、第一、第二特務艦隊の御親閲式が行われた。御召艦 は出雲となり、第一特務艦隊より磐手、千歳、第二特務艦隊より出雲、 日進、第二十二、第二十三、第二十四駆逐隊、特務艦関東、戦利ドイツ潜水 艦7隻(〇一より〇七号)が御親閲の栄誉に浴した。その後、第二特務艦隊は 各々の母港へ帰還し、7月20日任務を解かれ解散している。 一方、これら戦利潜水艦は、研究用、潜水学校練習用、標的艦用等として 様々な道を歩んだが、多くは大正10年中に解体処分されている。また、日本 に回航直後は、日本各地の港にて凱旋展示が行われている。 |
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図57は、大正8年7月12日より東京芝浦で行われた戦利ドイツ潜水艦凱旋展 示に訪れた差出人が、記念写真葉書を息子に送ったもの。おそらく芝浦の展 示会場で購入した絵葉書(横須賀繋留中の〇ニ号)を利用したのであろう。発 行したばかりの平和記念切手を使用しているのが感慨深い。抹消印は 櫛型・日本橋/8.7.14.である。銀ブラでもした後、差出したのだろうか。絵葉書 には、「これはドイツの潜航艇、昨日より学生に見せる、今日より一般人民誰 にでも見せるのです、以って芝浦に来ているのです。」と記してある。 |
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図58は平和記念切手4種、ヴェルサイユ条約調印を記念し、大正8年7月1 日発行された。平和の象徴である鳩とオリーブをモチーフにしている。 |
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