日独戦争と俘虜郵便の時代 11 03.01.22. |
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6) ドイツ東洋艦隊の脅威(その2) |
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図36 |
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オーストラリア、ニュージーランドは、第一次大戦開戦時期は米国と同様に日本を 仮想敵国とみなし警戒していたが、イギリス海軍の主力が欧州戦線へ向かうと、対 ドイツ東洋艦隊の哨戒作戦に於いて日本海軍の力が必要になっていた。1914年11 月、イギリスの要請もあり、オーストラリア、ニュージーランド両国陸軍のアデンまで の輸送船団を、南遣支隊から巡洋艦伊吹(図36)、オーストラリア巡洋艦シドニー、 メルボルン、イギリスより巡洋艦ミノトーアが護衛(メルボルンとミノトーアは途中同任 務離脱)した。この作戦中、ドイツ巡洋艦エムデンがココス島を砲撃したという一報 が伊吹・シドニー両艦に入り、直ちにシドニーはエムデンを追跡、遂に11月9日悪名 高きエムデンを捕獲破壊する事に成功したのである。これは、オーストラリア海軍初 の武勲であり、同じチャンスがあったにも係わらず伊吹は船団の護衛を続け、シド ニーに栄誉を譲ったという武士道行為が大きく報道され、日豪和解のムードが生ま れた。余談だが、実際には伊吹の通信員がシドニーの緊急通信を理解出来なかっ たというのが真相だそうだ。 |
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日本海軍の南遣支隊及び遣米支隊の協力で、英豪加連合海軍はドイツ東洋艦隊 を追い詰め、遂に1914年12月8日、イギリス海軍はフォークランド沖海戦で、巡洋艦 ドレスデンを除くドイツ東洋艦隊を壊滅させた。その後、日本の南遣、遣米両支隊 は、ドレスデンがチリ沖で撃破される1915年3月まで、太平洋全域で哨戒警備に活 躍した。 |
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図37 |
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ドイツ東洋艦隊が一掃され、暫くこの太平洋インド洋方面は平穏であった。しか し、1916年に入り中立国所在ドイツ武装商船の海上交通破壊行為が激しくなり、イ ギリス海軍は日本海軍に再びインド洋周辺警備を要請してきた。日本海軍は、シン ガポール港に在る第三艦隊の一支隊を派遣した。図37は同作戦に従事した第三 艦隊巡洋艦明石より長崎局気付で岡山迄送られた軍事郵便である。 櫛型・長崎/5.12.12.と岡山の到着印が押されている。シンガポール周辺から差出さ れたものであろう。 |
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