第二部・日独戦争と俘虜郵便の時代 84      06.04.13

10) 久留米俘虜収容所(その5)

(俘虜製絵葉書と記念印)

 久留米収容所俘虜製作の絵葉書は、数十種類が知られている。大きく分けると、
スポーツ週間、クリスマス、美術工芸品展関連の絵葉書が多い。また、その中には
収容所外の日本人に販売されたものもあり、記念行事の特印等も作られている。俘
虜郵便に使用されることも多かったこれらの絵葉書の中から、幾つか紹介してみた
い。


図319

図320


図321

 1916年(大正5年)のクリスマスには、絵葉書押印用に挨拶文の印判(図319)が作
られている。1917年1918年には数種類の印刷絵葉書(図320、321)が作られてい
る。また、板東収容所で印刷された絵葉書を、久留米用に加刷したクリスマスツリー
絵葉書も非常に美しい。

図322


図323

図324

 
スポーツ週間は、1917年1919年に開催されている。体操、陸上、各種球技等が
主に行われているが、かなり大規模なものだったらしい。絵葉書も各種(図322、
323
)つくられているが、1919年のものには、紫の記念印(図324)が押されている。


図325

図326

 美術工芸品展は、
1915年1916年1918年の秋に開催されている。特に第3回の
1918年
の展覧会では、工芸品・美術品など約500点が展示され、演劇、音楽会、各
種競技等も披露され盛大なものとなった。展示品の販売も行われている。また、日
本人観覧日には軍関係者や、地方官公使等の日本人有力者が訪れている。
 図325は、第三回美術工芸品展覧会カタログである。収容所の音楽活動としてベ
ートーベンの交響曲第9番の記録もみえる。
図326は、第3回展覧会の絵葉書に押
印された特印と、各種製作された絵葉書の中のひとつ。

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