日独戦争と俘虜郵便の時代 7      03.01.09.

4) 南洋群島の占領(その3)
 
 ”占領南洋”時代の陸上郵便局は、どのようになっていたのだろうか。
大正4年
入り、南洋群島に民間人の流入が本格化すると、艦舩郵便所(海軍軍用郵便所)の
みでは、一般の通信業務にも支障をきたす事になり、
大正4年10月15日より、サイ
パン・トラック・ヤップ・パラオ・アンガウル・ポナペ・クサイ・ヤルートの各島に、陸上
艦舩郵便所を設置する事になった。


図23

 図23はアンガウル局の初日印を押した官白である。消印は
櫛型・アンガウル/4.10.15./艦舩郵便所となっている。
 艦舩郵便所という名称は前述(その2)のように、
大正6年2月1日より海軍軍用郵
便所と改められたが、当初、陸上局にも”艦舩”という言葉を使っていたので、それ
がこの名称変更の理由の一つになったかも知れない。


図24
 
 
図24は、海軍軍用郵便所時代のアンガウル陸上局差出の軍事郵便である。
櫛型・アンガウル/6.9.4./海軍軍用郵便所が押されている。


図25 (図24裏面)

 この葉書は、海軍経営時代のアンガウル郵便局舎を撮影した写真葉書(図25)で、
ドイツ南洋燐鉱株式会社の官舎を接収改造したものである。葉書には”南洋占領地
「アンガウル」採礦所郵便事務所”と記してある。

 この時代の消印がある郵便物は、船内局では郵便局設置船の変更や経営母体
の変更等が短期間に行われているので、どのように逓送されたかを確認するには、
慎重を要する。占領南洋時代の現存郵便物は、陸上局を含めても多いとは言えな
いが、巡り合えればそれは楽しい作業になるだろう。

(参考文献/野戦郵便局のロケーティング・鈴木孝雄氏著・日本郵趣出版/南洋群島
の郵政始終・萩原海一氏著・切手研究会/台湾・南洋郵便資料・日本郵趣出版/日
本郵船株式会社百年史他)


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